Pebernødder

一口菓子『胡椒粒』

デンマークのクリスマスは、暦のうえでは「アドヴェント(待降節・降臨節)」と呼ばれる準備期間から始まります。アドヴェントとは、キリストの生誕日である12月25日から4週間さかのぼった日曜日からクリスマスイブまでの期間を指します。

今年(2025年)の「アドヴェント第1日曜日」は11月30日、「第2日曜日」が12月7日、「第3日曜日」が12月14日、「第4日曜日」が12月21日です。

アドヴェントに入ると、クリスマスを迎える準備でカレンダーがあっという間に埋まります。親戚が集まってアドヴェントの日曜日を一緒に過ごしたり、仲のよい友人同士でクリスマスクッキーを焼く会を開いたり、さまざまな催しが続きます。デンマークで忘年会にあたり、「クリスマス午餐」を意味する「JULEFROKOST(ユール・フロコスト)」と呼ばれる食事会もこの時期の楽しみのひとつです。

家族全員分のクリスマスプレゼントを用意するため、贈りもの探しに時間をかける人も多く、買い物の合間にはカフェでクリスマスの雰囲気を楽しむこともよくあります。室内のクリスマスの飾りつけを少しずつ増やしたり、アドヴェントに楽しむ料理を準備したり、クリスマス料理のパーツを仕込んだりと、日々の暮らしの中で少しずつクリスマスへの気持ちが高まります。

アドヴェントには、ひとつひとつの行事を心ゆくまで楽しむ――それがクリスマスを迎える醍醐味なのだと思います。

クリスマスには、特有の香りがあります。カルダモン、シナモン、ジンジャー、胡椒、ナツメグなど「クリスマススパイス」と総称されるスパイスに加え、オレンジの香りもクリスマスらしい香りとして親しまれています。

デンマークにもクリスマスに欠かせない伝統菓子があります。日持ちのする焼き菓子が多く、バニラ風味のリース型クッキーや、クリスマススパイスがしっかり香るブラウンクッキーが代表的ですが、なかでも「胡椒粒」と呼ばれる一口サイズの焼き菓子は、クリスマスの始まりを象徴するような存在です。アドヴェントの季節になると、さまざまな場で見かけます。

「胡椒粒」はデンマーク語で Pebernødder(ペバーヌダー) と表記します。「ペバー」は胡椒、「ヌダー」は本来ヘーゼルナッツを指すことが多いのですが、小さな粒状のものを表すときにも使われます。「胡椒のように小さなお菓子」「胡椒が香るお菓子」どちらにも連想できるようです。

このたび、アンデルセングループとアンデルセンネットのコラム『クリスマスを待つ』で「胡椒粒」に触れました。写真をご覧になって、「どんな味なのだろう?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

こちらにレシピをご紹介しますので、よろしければぜひお試しください。デンマークのクリスマスを待ちわびる気持ちとともに、クリスマスの味覚もお伝えできればうれしく思います。

文: くらもとさちこ
写真撮影: Jan Oster


一口菓子『胡椒粒』


材料

バター 125 g(やわらかいもの)

黒糖(パウダータイプ) 125 g

生クリーム 50 ml

*しょうがパウダー 小さじ1/2

*シナモン 小さじ1

*ホワイトペッパーパウダー 小さじ1

*カルダモンパウダー 小さじ1/2

重曹 小さじ1/2

ベーキングパウダー 小さじ1/2

小麦粉 250 g

註)今回は*の代わりに、Mill & Mortar 社のPEBERNØDDERというミックススパイス 小さじ3 を使いました。

註)色を薄く仕上げたいときは、黒糖の代わりに「きび糖」「洗双糖」などをお使いください。


作り方

1.       バターと黒糖、生クリームをボウルに入れ、ハンドミキサー(もしくはスタンドミキサー)でよく混ぜ合わせる。

2.       残りの材料をすべて加え、生地がまとまるまで混ぜる。

3.       生地を冷蔵庫で約30分休ませる。

4.       軽く打ち粉(小麦粉)をした台に生地を取り出し、細長い棒状にのばす。

5.       4.を3 gを目安に小さく切り分け、それぞれを手で丸めて小さな球状にする。

6.       ベーキングシートを敷いた天板に並べ、190℃のオーブンで約10分を目安に、底面はこんがり焼け、表面は薄く色づく程度に焼く。

7.       焼き上がったらケーキクーラーにのせて冷まし、密閉容器で保存する。

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