Bøgeskoven i april

橅の森が春を迎える頃

DSC09356IE_E033D50S20_R-1.jpg

橅(ぶな)には「森の女王」という別名があるそうですが、デンマークでは国木となっており、国歌でもその美しさが朗々と謳われています。日本人が桜を愛でるように、デンマーク人は橅の木に特別な感情を寄せています。デンマークの森にどっしりと根付いている橅の木々は壮麗で、「森の女王」の名にふさわしい気品と威厳を感じます。橅の新芽が芽吹く頃は、その淡く透き通るような若葉が美しく、森は萌葱色のレースで彩られます。日本の桜も一週間前後が見頃ですが、橅の若葉も二週間前後でずいぶん印象が異なります。橅の若葉は桜のように散ることはなく、透き通った萌葱色から力強い濃い緑に変わっていくのですが、淡くて華奢な若葉で彩られた森の様子には独特の美しさがあり、この風景を楽しみたい一心で、この時期には橅の森で散歩するひとときを特に大切にしています。橅の景観を愛でる心はデンマークで暮らす人々に共通する思いです。


森に生息する橅に若葉が芽吹く少し前、デンマークでの気温は5度前後のことも多く、まだまだダウンコートが手離せませんが、厚い雲の隙間から太陽が顔を出す時間が増え、日に日に明るさが増していきます。デンマークの春の喜びは太陽の明るさで始まるように思います。森では新芽が芽吹き始める前なので、太陽の光が大きな木の根元まで届きます。デンマークの橅の森で、この太陽の恵みを真っ先に享受するのはイチリンソウです。白く可憐なイチリンソウの花が橅の森で絨毯を敷いたように一面に咲く光景は、デンマークの春の始まりを象徴する美しい光景です。群生している可憐な花が春のそよ風に揺れる風情は、たくさんの小さな妖精たちが楽しく踊っているようにも感じられます。橅の若葉がぐんぐん育ってくると、太陽の光が木の根元まで届きにくくなるため、橅の根元に一面に咲くイチリンソウの花は、橅の新芽が芽吹く直前から二週間前後にだけ愛でることができる儚くて美しい春の光景です。

DSC00019IE_D30S20_R.jpg
DSC08074IE_D50S20_R.jpg
DSC04202.JPG
DSC06852IE_E-033D30S30_CR.jpg
DSC06860IE_E-033D30S20_R.jpg
Previous
Previous

Forårssang